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過去の展示

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日本発酵紀行写真展
re-edited by かもめブックス
2019年8月13日〜9月1日
※最終日18時まで

今年5月に発売されました小倉ヒラクさんの新刊『日本発酵紀行』は、
日本全国47都道府県の発酵食品の現場を巡ったそのドキュメントであります。

しかしながら、その冒頭「はじめに」を読み終えた段階で、
私の口からふと漏れた言葉は「これはもう小説みたいだな…」というものでした。

・「人間の時間」とは違う時間軸
・人間の理ではない感性で生きている人たち
・「人間以外の時間」の手がかりを知りたい

前述の冒頭部分で畳み掛けるようにでてくる、こういったフレーズ。
さらに読み進めていくと、1日24時間、1秒ずつ、まっすぐに進んで行く「人間の時間」とは別の
「伸びたり縮んだりする時間」が発酵文化には流れていることがわかります。

「伸びたり縮んだりする時間」って何でしょうか?
私が連想したのは、子どものころ、外で思いっきり遊んでいると
ふいにあたりが暗くなっているあの感じです。

「時給」や「効率」など、均質に、人間を無視して進んでいく時間に、途方にくれつつある私たち。
「3時間あそんだから6時になったんだ」ではなく、「暗くなったから家に帰る時間だ」という、
あの感覚を取り戻すことが必要だと思うことがあります。

発酵食品は美味しく健康によいものですが、ただそれだけではなく、
その時間の流れ方が、人ひとりひとりに生きる時間を思い出すきっかけを与えるのかもしれません。
いや、きっとそうです。

楽しくもハードな、発酵という「異界」を旅してきた小倉ヒラクさん。
ご自身による写真、そして降りてきた言葉たちに注目していただくことで、
その「異界」を存分に味わっていただければと存じます。

かもめブックス 前田隆紀

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日本発酵紀行 – Fermentation Tourism Nippon –
小倉ヒラク 著
D&DEPARTMENT PROJECT 刊
A5判変型/224ページ
本体価格 ¥1,800(税抜)

2018年夏、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんは、日本の発酵文化をリサーチする、8か月間の旅に出ました。
本書は、小倉さんが47都道府県の山・海・島・街を巡って、酒・味噌・醤油はもちろん、知られざる発酵の現場を取材した記録です。
発酵食品は、その土地の味覚や暮らしの記憶が保存されたアーカイブ。
多種多様な日本の発酵食と、それらが生まれた背景を、疾走感ある文章で紹介しています。

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プロフィール

小倉ヒラク(Hiraku Ogura)
1983年生まれ。発酵デザイナー。東京農業大学で研究生として発酵学を学んだ後、山梨県甲州市に発酵ラボをつくる。「見えない菌の働きを、デザインを通してみえるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちと発酵・微生物をテーマにしたプロジェクトを展開。アニメ「手前みそのうた」でグッドデザイン賞2014授賞。著書に『発酵文化人類学』(木楽舎刊 2017年)。
http://hirakuogura.com

●展覧会情報
2019年4月26日〜7月22日、小倉ヒラクさんの8か月間のリサーチの旅からうまれた、展覧会をd47 MUSEUMにて開催しました。(主催:D&DEPARTMENT PROJECT)
https://static.d-department.com/jp/fermentation-tourism-nippon

2019.7.25 / 過去の展示 ギャラリー|ondo kagurazaka / 日本発酵紀行写真展 re-edited by かもめブックス