ena mifune solo exhibition銀河の粒2016年7月5日(火)~ 2016年7月24日(日)
※最終日は18:00まで
〈作家在廊予定日〉
7月9日(土)、10日(日)…14時〜17時
7月24日(日)…14時〜18時
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黄昏れ時、
指の間をすり抜けていく生温い風の中に
ふと現れて、少しの間まどろんで、
そして瞬きのすき間に消えていく。
そういう、ウスバカゲロウのような、
憧れのような風景を捕まえようとすると、
辿り着くのはいつも遠い彼方、
宇宙の記憶の中に眠る、銀河の一粒。
それはそれは小さな、きらめきのほんのひとかけ。
今はもう、存在しない星の光。
そこではいつも、取るに足らないほこりの粒が
種となり、生い茂って森を作り、
小さな無数の命を宿し、宇宙となる。
人はいつも、いつでも、
昔々の遠い夜空に産み落とされた星々の
ぼやけた光の点と点を結んでは解き、
架空の線を思い描いては消し、物語を紡ぎ、
空を見上げ果てしない宇宙に憧憬を飛ばす。
まわりまわって星たちは、
熱帯夜に舞い散る砂ぼこりのかすかな一粒になり、
名もない草花のえも言われぬ色合いを宿すほんの小さな種になり、
夢みがちな獣の体内を駆け巡る細胞の透明な一片になり。。。
終わりのない物語はこうして繰り返される。
そんなわけで私は、
今はもう、存在しない星々の記憶の粒を拾い集め
絵の具に溶いて、このようなたどたどしい物語を
綴ってみようと思い立ったのです。
まるで昔々の人々が、遥かな宇宙に
憧れを飛ばし遊んだみたいにして。
ー
空気中に漂う小さな原子の粒たちが、宇宙の彼方から
ひとつひとつキラキラしながら降りてくる。
彼女の作品を見るとそんなイメージが再生されます。
花も鳥も虹もなにもかも、そんなキラキラから生まれた大切なものなんだと、
心の奥底に眠らせてしまった確かな想いをよみがえらせることでしょう。
〈プロフィール〉
ena mifune
1977年東京生まれ。
陶芸家であり幼稚園絵画講師でもある母の影響で、幼い頃より絵画や芸術に親しむ。
20代の頃には不思議なものを売るお店にあこがれ霞屋総本舗を勝手に設立する。
2004年よりフランスに移住。
ベルサイユ市立の美術学校(ボ・ザール)を首席で卒業後、パリ第8大学に編入し、
造形美術を専攻する。
パリにてグループ展や個展を開催し、作品を発表する。
2014年12月に帰国。以来、描きためた水彩作品が今回の展示につながる。