旅と荷物と詩のこころ
旅に持って行く荷物は人によってさまざま。
各自の役立つアイテムや必需品でカバンはもういっぱい。
それでも、もし本一冊くらいのスペースがあったとして、
潜り込ませてほしいのは、詩の本だ。
お気に入りの詩があればぜひ諳んじてほしい。
ポケットからいつでもとりだして、自らの孤独の輪郭をなぞるように。
もしくは、旅先で出会った友に、タバコを一本差し出して火をつけるように。
旅をしてきた言葉と、旅の中で生まれた言葉と。
それを旅の空の下でなぞることの贅沢さを知っていたい。
心に突き刺さった言葉は、痛いほど眩しく美しい光景のように
消えない痣となって残るでしょう。