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特集棚

本を開いて雨を読む

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雨という字は美しいですね。
8画の線と点の中には、雨という字が生まれてから今日まで
たくさんの感情や情景が染み込んできたのでしょう。

空から降りそそぐ雨は神様のご機嫌にまかせて、
これから心に降る雨をご自分で選んでみては如何でしょう。
心あらわれ、心かたまり、雨を読んだ後には晴れ間が見えますように。

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『流跡』
降っては地面に落ちた雨粒が一筋の流れとなって流れては途端に消えてしまう。
そんな不思議な感覚を覚える小説が他にあるでしょうか。

『青梅雨』
ふと過ぎていくような日常のひとコマは鋭く、美しく、そして優しさに満ちている。ま
ばたきをする時間さえも愛おしい、繊細に積み重ねられた人生の一部分、清爽とした余韻が残ります。

『水晶萬年筆』
この短篇集の中の『雨を聴いた家』では、街に雨が降り始めパラパラと粒が落ちるように、ページを
捲るたびに様々な雨が肌にポツンポツンと落ちてきます。この雨は傘をささずに受けとめてください。
(さしてみたくはなるでしょうが…)

2015.6.8 / 特集棚 / 本を開いて雨を読む