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『村を守る不思議な神様2』刊行記念宮原葉月原画展2019年7月23日(火)〜8月11日(日)
※最終日18時まで

「なまはげだけが秋田じゃない」

秋田県にはなまはげの他に、独特の風貌を持った神様がいます。その名は「人形道祖神(※)」。世界でもまれに見るプリミティヴアート(原始美術)ですが、地元でも決して知られているとは言えません。

「人形道祖神」とは、疫病などの災いが入ってこないよう、村の入口などに立てられたワラや木などで作られた人形の神様です。地域によって「カシマサマ」、「オニョサマ」、「ドジンサマ」、「ショウキサマ」などと呼ばれています。大小様々な人形があり、大きいものでは4.5m、小さいものは70cm程。こうした人形道祖神は東日本に分布していますが、とりわけ秋田県には多く、お面だけのものも含めると北部と南部の内陸を中心に130体以上確認されています。

この不思議な神様をもっと知りたいと思い、2018年、秋田市在住の郷土史研究家・小松和彦氏と「秋田人形道祖神プロジェクト」を立ち上げました。現在、精力的に県内を取材しています。2018年春に取材した内容を小冊子「村を守る不思議な神様」にて発表。発売から約半年で1000部販売しました。自費出版ながら全国12都道府県の書店やアートギャラリーに取り扱いいただいています。

小冊子をつくる際、人形道祖神の姿を写真やリアルな描写ではなく、「ポップに今風にアレンジしてみたい」という気持ちが高まり、自由に描いてみました。描いても描いても表現しきれない神様の存在に圧倒された私は、ますますその魅力にハマり、「秋田県内すべての人形道祖神の神様を描く」という目標をライフワークとして掲げました。

2018年に刊行した「村を守る不思議な神様」に続き、2019年7月には、2018年初夏から年末にかけて取材したものを「村を守る不思議な神様2」にまとめ、刊行いたします。

人形道祖神の取材では何度も胸を打たれ、時には涙があふれてしまうこともありました。集落の皆様から教えていただいた当時のお話や日々の暮らしのこと、少子高齢化の影響で厳しくても信仰を続けていこうとする姿、私はこのことをしっかり広く伝えていかねばと思いました。同展示では、前作で描いたものも合わせて20点ほどの神様の原画を展示します。神様の絵を通じて、少しでも秋田のことを知っていただければ幸いです。

※民俗学者の神野善治さんによって分類された名称。民俗学ではこれらを「人形神」と呼称することもありますが、私たちはこれまでに神野さんが「人形道祖神」と名付けたものを取材の対象にしていること、「人形神」という言葉のイメージが抽象的であることから「人形道祖神」の名称を使わせていただきました。

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実際の人形道祖神

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人形道祖神イラスト



スライド&トークイベント開催決定!『村を守る不思議な神様2』刊行記念企画
「スライド&トークイベント 秋田人形道祖神めぐり パート2」

日程 2019年7月24日(水)
開催時間 19:30~21:00(開場19:00)
場所 かもめブックス
参加費 2000円(1ドリンク付き)

お申し込みはこちら→ https://kamomebooks.jp/event/2570.html

本書で紹介した人形道祖神を写真と動画で詳しく解説。リアルな信仰の姿や、小松と宮原の珍道中、本では書けなかったエピソードや道祖神も数多く登場いたします。これまでほとんど取材されてこなかった奇祭、神仏習合の儀式、人形の来訪神など、写真と動画で初披露。秋田の知られざる魅力をご紹介いたします。



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「村を守る不思議な神様2」
2019年7月 刊行
秋田人形道祖神プロジェクト 刊
著:宮原葉月(イラスト、コラム)小松和彦(文)
装丁:小口翔平(tobufune)
A5判/カラー/148ページ
本体価格 ¥1,500(税抜)

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概要
・大館市中羽立のニンギョウサマ:ワンダーランドで出会った来訪神
・美郷町本堂城回のショウキサマ:戦国の城とカリスマリーダー
・横手市末野のカシマサマ:村の大イベントに潜入取材
・湯沢市御返事のカシマサマ:これぞ奇祭!悪魔を憐れむ歌
・湯沢市三ツ村のカシマサマ:仏様の前で行われる神がかり的行事
・大館市松原のニンニョサマ:仁王カップルと歴史ミステリー
・大仙市鶴田のショウキサマ:人気プロレスラー、最期の勇姿
・湯沢市若畑のニンギョウサマ:天空の村に祀られる森の精
・大仙市北観音堂のニオウサマ:イケメン神様の師弟対決
・大館市松峰のニンギョウサマ:源義経はサンタクロース?
・大館市山田のジンジョサマ:奇祭に裏に隠された民俗のカオス

---取材こぼれ話---

・湯沢市岩崎地区の初丑まつり:カシマサマの前で繰り広げられる裸の男たちの戦い!
・人形道祖神だけではありません!県内の縄文土偶のご紹介

---エピローグ~能代市荷八田の塞ノ神---

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「村を守る不思議な神様 〜 あきた人形道祖神めぐり 〜 」
なまはげだけが秋田じゃない、道祖神の謎に迫る第一弾。
2018年7月発売
秋田人形道祖神プロジェクト 刊
著:宮原葉月(イラスト、コラム)小松和彦(文)
装丁:小口翔平(tobufune)
A5判/カラー/78P
本体価格 ¥1,204(税抜)

プロフィール
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宮原葉月(Hazuki Miyahara)
2011年よりイラストレーターとして活動開始。国内外の広告・雑誌・書籍・プロダクトのイラストを描く。代表的なものは『ピンクとグレー』(加藤シゲアキ氏著、KADOKAWA、累計25万部)、『服を買うなら、捨てなさい』(地曳いく子氏著、宝島社 シリーズ累計40万部超)など書籍の装画など。最近では錦糸町ステーションビル「テルミナ」の広告ビジュアルを2018年から担当、abahouse「LOWELL Things」とコラボしオリジナルバッグを発売、会期を半分残した時点で完売など。

秋田人形道祖神プロジェクト
2018年、秋田市在住の郷土史研究家・小松和彦氏とイラストレーター・宮原葉月が立ち上げ。現在、精力的に県内を取材しながら活動している。2018年春に取材した内容を小冊子「村を守る不思議な神様」にて発表。発売から約半年で1000部販売。2019年7月に第2弾「村を守る不思議な神様2」を刊行。プロジェクトの情報発信地「dosojin.jp」の他、全国12都道府県の書店やアートギャラリーにて取り扱い中。

▶︎https://dosojin.jp/
ブランディングやWebサイト制作を手掛ける秋田の「necco」さんとコラボして作った「dosojin.jp」では人形道祖神の最新情報をご覧いただけます。オリジナルグッズも販売しています。

2019.7.6 / 過去の展示 ギャラリー|ondo kagurazaka / 『村を守る不思議な神様2』刊行記念 – 宮原葉月原画展